■IT media:「世界一受けたい授業」が紹介した「SIMカードロック」でトラブル相次ぐ
<https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2006/29/news092.html>
世界一受けたい授業は、比較的好きな番組でよく見るんですが、この回は見逃していました。しかし、まさか専門家を名乗る人が、今時、PINロックとは・・・本当に専門家?または、10年以上前の話ですよね?と言いたくなるレベルです。
ちなみに、私は10年以上前に海外向けの携帯電話(GSM)の開発に関わっていたので、SIMカードロック(以降、PINロック)については、基本知識として知っていました。
ただ、この機能は、第2、2.5世代の携帯電話(GSMなど)向けに考えられた機能です。その当時、携帯電話を買い替えると電話帳データの移行が大変でした。そのため、SIMカードに電話帳を50件登録可能にしました。
また、海外では、当時からSIMフリーは当たり前だったため、SIMを差し回すことはかなり一般的な使い方でした。そのセキュリティ対策としてPINロック機能がありました。
当時の使い方(特に海外)では、それなりの需要や重要性がありました。ただ、今の時代で考えるとはっきり言って不要な機能だと思います。SIMカードの標準規格があり、過去の遺産として残っているだけの機能です。
では、なぜ廃れてしまったのか?それは、現代で考えてみるとこの機能は、メリットのわりにデメリットが大きすぎる点にあります。
■メリット
- SIMを入れ替えてもすぐに電話が掛けられる。(ただしSIMに保存されている50件まで)
■デメリット
- 50件しか移行できない。
- 今ならクラウドを介して電話帳データのアップロード、ダウンロードが可能
- PINコードを3回間違えるとPINロックになる。PUKを正しく入力すれば、復旧可能。この状態ならキャリアショップ等で解除できると思います。
- PINロック状態で、PUKを10回間違えるとSIMロックとなる。復旧不可。SIMの交換必須!!
- そもそも論でいうと、電話を掛けなくなってきている。
上記のように、かなり怖い機能です。GSMの開発中も動作確認で海外SIMをよく使いましたが、取り扱いは要注意でした。PINロックの試験もあって、PUKで解除するんですが、間違えないようにかなり慎重にやった記憶があります。
確かに、上記機能が何なのかを解ったうえで、PINを使ったセキュリティロックを掛けるのは良いです。ただ専門家を名乗る人が、それをTVで安直に言ってしまうレベルの物でもありません。
海外でGSMの時代に、日本は、所謂ガラケー時代だったため、独自の携帯電話文化でした。そのため、SIMの関しての知識が海外の人と比べると非常に少ないため、注意して発言してもらいたいものです。
私もGSMの開発に関わっていなければ、PINロック機能なんて知らなかったと思います。専門家を名乗るなら、こんな機能でセキュリティが増しますよ!だけでなく、TVで紹介する=基礎知識のない人も見ている事を意識して発言して欲しいものです。
それなりに知っている事だったので、少し長めに書きましたが、TVの影響力ってまだまだ大きいんだなと思った出来事でした。